Philadelphia Eagles(フィラデルフィア・イーグルス)
2024-12-02 / 506 view
NFL屈指の人気を誇る名門
NFLのフィラデルフィア・イーグルスは、アメリカ東海岸のペンシルバニア州フィラデルフィアを本拠地とするチームである。1933年にNFLに加入、創設されたチームで、プロのアメリカンフットボール・チームとしても、指折りの歴史と伝統を持っている。
チーム名は、設立当時にアメリカも巻き込まれていた世界大恐慌の対策として行われていたニューディール政策に由来する。その政策のシンボルがワシだったため、不況を打ち破る新しい時代のチームとして、イーグルスというチーム名が採用されたのである。
イーグルスがNFLのリーグ内で所属するNFC東地区は、その地区に所属する4チームがすべて長い歴史を持ち、地元だけでなくアメリカ全国的に人気が高いことで有名だ。イーグルスも同様に人気が高いチームであり1970年代のチームでの実話をもとにした『インヴィンシビル』や、イーグルスの熱烈なファンが主人公の『世界に一つのプレイブック』など、いくつもイーグルスを題材にした映画が作られるほどに、全米で知名度も高く、親しまれているチームである。
2度の黄金時代と、新しい世代の中心選手
フィラデルフィア・イーグルスは、1980年代、2000年代に黄金時代を迎えて、常に優勝争いに加わっていた。
1980年代のイーグルスは、ディフェンスを武器に戦ったチームであった。スターであり、防衛大臣というニックネームまでつくほどの人気があったレジー・ホワイトを筆頭に、強力なディフェンスで相手を打ち倒していった。そして2000年代には、QBのドノヴァン・マクナブを中心に、今度は攻撃力で相手を圧倒した。
その後10年程は、選手やコーチも活躍しきれずに数年ごとに入れ替わることが多く、スター選手は排出できないでいた。
しかし、ようやく新しいチームの顔とも言えるQBカーソン・ウェンツがチームに加わる。
期待はずれに終わった2015年シーズンの後、フィラデルフィア・イーグルスは新しいヘッドコーチを招き、その他のコーチ陣も一新した。さらに、その年のドラフトでは、全体2位で、チームの次世代を担う中心となるべき選手として、QBカーソン・ウェンツを指名した。ヘッドコーチとクォーターバックという、2つのチームの顔を入れ替えて、まったく新しいチームとして再建するためのスタートを切ったのである。
そして2016年シーズン、新人QBとしてデビューしたカーソン・ウェンツは開幕からスターターとして試合に出場し、期待通りの活躍を見せている。ウェンツの落ち着いたプレー運びと、チームを引っ張るリーダーシップは、新人とは思えないレベルとも言われ、フィラデルフィアだけでなく、NFLのスター選手になりつつある。
生まれ変わり続けるイーグルス
フィラデルフィア・イーグルスは、1948年、1949年、1960年にリーグ優勝を果たしている。ただ、その後NFLのチーム数が拡充され、現在に至る2リーグ制になってからは、1980年と2004年にはNFLの決勝戦であるスーパーボウルにまで出場したが、どちらもその舞台で勝つことはできなかった。
とはいえ、イーグルスは観る人を惹きつける力を持っているチームである。その理由は、チームの進取の精神であろう。
1980年代には、まだ非常に珍しかった黒人QBランドール・カニンガムをエースとして起用し、強いチームを作った。2000年代のエースQBドノヴァン・マクナブは、パスを投げるだけでなく自分で走って攻撃を進める新しいタイプのQBの先駆けともなった。そしてその間常に、ディフェンスは一般的な受身で相手オフェンスに対するスタイルではなく、ディフェンスから積極的に仕掛けていく攻撃的なスタイルを保っていた。そして、2016年には新人QBカーソン・ウェンツをプロ1年目からスターターとして起用している。
このように、NFL全体の中でも特に新しいチャレンジをし続けているチームなのである。これが、同じNFC東地区の他の3チームとは違って優勝までたどり着いていないにもかかわらず、フィラデルフィア・イーグルスが愛され続ける理由であろう。