Toronto Blue Jays(トロント・ブルージェイズ)
2024-12-06 / 841 view
急上昇、そして長い低迷期を経て
「アオカケス」という鳥はご存じだろうか? 日本では馴染みがないが、北米では一般的な野鳥で、カナダ、オンタリオ州を代表する鳥とされている。そして、米メジャーリーグで唯一アメリカ以外に本拠地を持つ、トロント・ブルージェイズのチーム名の由来でもある。
ブルージェイズの創立は1977年。比較的歴史の浅いチームと言える。
しかし、創立10年に満たない1985年には地区初優勝、その後も2度の地区優勝を果たすなど、人気と実力を兼ね備えたチームとして、カナダでは絶大な人気を誇ることとなった。
そして1992年、1993年のワールドチャンピオン連続獲得により、ブルージェイズはこれまでの歴史の頂点を迎えたと言って過言ではないだろう。
その後チームは主力選手の放出や不安定な経営陣などの影響から、成績は降下の一途をたどることとなる。ヤンキース、レッドソックスの二強をなかなか切り崩せないばかりか、負け越して地区の下位グループに甘んじることもある状況は、20年以上続き、最近でも、勝ち越せるシーズンもあれば、下位に沈む年もある不安定感は否めないところだ。
しかし現在、2015年、2016年と2年続けてリーグ優勝決定シリーズに進出するなど、勢いづいていることも確か。かつての輝きを取り戻すことへの期待が、カナダ中を満たしているところだ。
来シーズンの去就が注目されている主砲
ブルージェイズを代表する選手を1人選ぶのは難しい仕事だ。日本人としては、ムードメーカーとして人気を集めた川崎宗則(2013-2015)を挙げたいところだが、残念ながら現在は所属していない。
ここではホセ・バティスタの名を挙げておこう。バティスタもまた、2016/12/22時点ではブルージェイズのオファーを拒否してFAとなっているので、来シーズンには所属していない可能性のある選手ではあるが、ここ数年のブルージェイズの打線をリードしてきたことは疑いようがない。
2009年にはWBCにも出場しているこのドミニカ人は、2008年にブルージェイズに移籍すると、次第にその能力の高さを発揮。2度のホームラン王、6年連続のオールスター選出など、実績は枚挙に暇がない。オールスター選出においては、2011年に当時の史上最多得票記録を塗り替えるなど、本塁打数などの数字以上に、ファンにインパクトを与えてきた選手とも言える。
守備でも内外野の複数ポジションをこなせるユーティリティ・プレイヤーだが、好不調の波が強く、2016シーズンは怪我の影響もあって本来の姿を見せられてはいない。
それでもトロントの野球ファンは、バティスタのアッパースイングからの豪快なホームランを来シーズンも見たいと願っていることだろう。
「青い鳥」の行方は?
ここのところ、経営陣の短期間での交代や、好調を支えた主力選手がチームを離れることが続いているブルージェイズだが、2016年の観客動員数はリーグ最高となるなど、相変わらずカナダ国民からの熱烈な支持を受けている。
黎明期のブルージェイズが、創立からわずか数年で結果を出せたのは、創立間もなくから育成してきた若手選手の成長によることが大きいとする意見もあるように、目先のシーズンにとらわれ過ぎない強化が求められる時期を迎えているのかもしれない。
そう言えば、幸福の象徴である「青い鳥」は、さんざん探し回った後に、結局は自宅にもともといたことが分かるのだった。
カナダ中のファンたちが、もう一度ワールドシリーズの熱狂を経験するとき、そんな物語を思い出すのかもしれない。