Cleveland Indians (クリーブランド・インディアンス)
2024-11-18 / 319 view
「弱小球団」の歴史
クリーブランド・インディアンスの名は、アメリカンリーグ誕生とともにMLBに参加した老舗球団としてよりも、映画『メジャーリーグ』に登場する、愛すべき弱小球団として世界的に知られている。
つまり、それほど長く本業の野球では低迷し、優勝争いとは縁がなかったチームだとも言える。球団としてのルーツは19世紀までたどることができるが、まずは創立とMLBに参加した1901年、チーム名はクリーブランド・ブルースと称していた。のち、名手ナップ・ラジョイの在籍時にナップスと改名。
この時期には、最優秀投手賞としても名を残しているサイ・ヤングも在籍し、上位戦線に絡むことのできるチームだった。インディアンスと改称した1915年は低迷期の只中であったが、その後チームは再建に成功。1920年にリーグ初優勝すると、その勢いのままワールドシリーズも制することとなる。
その後、いったん優勝争いからは遠ざかるが、観客動員を大きく伸ばすとともに戦力も充実してきた1948年、史上最年少の監督兼選手ルー・ブードローらの活躍で、2度目のワールドチャンピオンに輝いた。
映画になるほどの低迷ぶりが続くのは、この後40年あまりに及ぶ。『メジャーリーグ』公開から数年経過した1990年代半ばくらいから、地区優勝・リーグ優勝を達成し、再度の黄金期とも言える充実ぶりだったが、その後、再び低迷期を迎えて2000年代以降を過ごしてきた。
変幻自在のエース、クルーバー
2016年シーズンでは、チーム打率、防御率ともに上位に位置していたインディアンスだが、特に投手陣の充実が目を引いた。中でも18勝を挙げたコーリー・クルーバーは、ワールドシリーズでも3試合先発を任され、2勝を挙げている。
2007年にプロ入り、2010年からインディアンスでプレーするクルーバーが大ブレイクしたのは2014年、高速スライダーとシンカー、本人が「ブレイキング・ボール」と呼ぶ低速スライダー(あるいはカーブ)を武器に、その年のアメリカンリーグ最多勝、そして上記のサイ・ヤング賞にも輝いた。
もともとコントロールの良さには定評があったが、遅咲きとも言えるエースは、変化球の切れの良さに磨きがかかったことで、その才能を充分に開花させたと言えるだろう。中でも、バッターの手元で大きく変化するスライダーには、MLB屈指のスラッガーたちが踊らされるように三振を献上している。
2017シーズンでも、間違いなくローテーションの要となるはずだ。
黄金期再来の期待がかかるシーズンへ
2016年、数年かけて強化してきたチームはついに躍進、地区とリーグを圧倒的に優勝し、ワールドシリーズに駒を進めたのである。機は熟したと誰もが思っていたが、3勝1敗から連敗して逆転され、またしてもワールドチャンピオンの座はインディアンスの指先を通り過ぎてしまった。
映画とは異なり、どちらかと言えば個性的な選手が少ないような印象のあった最近のインディアンスだが、ここへ来てクルーバーをはじめ、プエルトリコ出身の生え抜きであるフランシスコ・リンドーアなど、人気と実力を兼ね備えた選手たちが揃ってきている。
さらに注目すべきは、ブルージェイズで活躍した強打者、エドウィン・エンカーナシオンがFA移籍することだろう。攻守ともに最高の布陣がそろいつつあるインディアンス。2017シーズンは、映画のように劇的にではなく、圧倒的にワールドチャンピオンに昇り詰めるのだろうか。