Detroit Tigers (デトロイト・タイガース)
2024-11-22 / 223 view
伝説的選手を輩出した歴史的強豪
デトロイト・タイガースは、ルーツを19世紀にナショナルリーグを制したデトロイト・ウルバリンズに持つ。その消滅後、アメリカンリーグ創設とともに誕生したのが、現在のタイガースである。加盟後数年は負け越しのシーズンを過ごし、その後、伝説の「球聖」タイ・カッブを擁してアメリカンリーグを3連覇したが、いずれもワールドシリーズでは敗れている。
カッブがMLB記録を次々と打ち立てる中、チームはリーグ優勝からも遠ざかり、1930年代まで低迷することとなった。ミッキー・カクレーンが率いた1934年に久しぶりのリーグ優勝を果たすと、翌1935年には実に5度目のチャレンジでワールドシリーズ制覇も成し遂げ、ようやく悲願を達成したのである。
1945年の2度目のワールドシリーズ優勝の後、個々に活躍した選手はいるものの、チームとしてはタイトルを獲得するまでに至らなかった。その後1968年、1984年にワールドチャンピオンに輝いたが、それ以降世界一の座からは遠ざかることになる。
21世紀になると、選手の補強が上手くいった2006年と、主砲ミゲル・カブレラが三冠王の活躍を見せた2012年にはリーグ優勝しているが、いずれも翌シーズン以降は成績が下降するパターンを繰り返している。
乱暴な人柄、緻密な戦術
前述のカブレラなど、現在の戦力にも語るべき選手は多い。しかし、やはりデトロイト・タイガースを代表する1人を選ぶならば、タイ・カッブをおいて他にはいないのではないか。
1905年にタイガースに加入したカッブは、3年目のシーズンに大ブレイク。2年続けて三冠を獲得すると、1909年には本塁打王も含めて打撃部門タイトルを全て独占した。これはMLB唯一の記録である。他にも生涯通算打率3割6分6厘が史上1位など、記録や個人タイトルは列挙しきれない程である。
一方で激しい性格から乱闘騒ぎも数多く起こし、勝つためにはラフプレーも辞さなかったことから、他球団はもちろん、自チーム内でも疎まれていたと言われる。その言動はけして褒められたものではないが、あくなき勝利への執念が、例えばゲッツー崩しやフックスライディング、あるいは投手の癖を読んでスタートするなど、走塁技術を駆使する戦術を生み出したことも事実だ。
天性の打撃センスや体力にモノを言わせるだけでなく、技術や戦術により勝利に近づく発想が、その後の野球という競技の在り方にも影響を与えているのだ。記録やキャラクターだけでなく、そういった面にも、カッブが伝説的な存在である理由があるだろう。
有名無実からの脱却へ
現在のデトロイト・タイガースは、移籍組も含めて名前も実績もある選手が多く在籍していて、いつでもタイトルを狙いにいけるような布陣にも見える。実際に2016シーズンでは中地区2位につけたのだか、それでも次シーズンを楽観視しているファンは多くないのではないだろうか。戦力的には充実しているものの、どこか勝負弱い印象を与えてきてしまっているのも、ここ数年来の事実だからだ。
選手1人1人がそれぞれ活躍するだけでは、シーズンを通して安定した成績を収めることも、タイトル戦線に絡むことも難しいのかもしれない。昨シーズン、既に実績のあるベテランだけでなく、若手投手も活躍したことなどは明るい材料だが、それ以上にチームとしての総合力が問われるシーズンが待っている。デトロイト・タイガースの歴史に、新たな伝説を築いていくことができるだろうか。