カンザスシティ・チーフスの歴史

カンザスシティ・チーフス（Kanzas City Chiefs）は全米プロフットボールリーグ（NFL）AFC（アメリカンフットボールカンファレンス）西地区に所属するプロフットボールチームである。チーム創設は1960年、テキサス州ダラスで「ダラス・テキサンズ」として産声をあげたが、同市には旧NFLのダラス・カウボーイズが人気を博していたため、1963年に本拠地を現在のミズーリ州カンザスシティに移転、同時にチーム名称を「チーフス」と変更した。
チーム名の由来は移転当時のカンザスシティ市長のニックネームであった“チーフ”（先住民族インディアンの酋長の意）、この名称はファン投票による公募で選ばれた。またチームロゴはアメリカインディアンの矢じりを現している。本拠地はカンザスシティにある「アローヘッドスタジアム」。
NFLの優勝決定戦である「スーパーボール」にはリーグ創世記に2回出場し、第4回スーパーボールではミネソタ・バイキングスを破って悲願の初制覇を成し遂げている。この時のQBレン・ドーソンは大会MVPに選ばれている。
その後はそこそこの成績を収めるものの中々勝運には恵まれず、選手・ファンともに満足するシーズンを過ごせていない。
サンフランシスコ（SF）・フォーティーナイナーズから獲得したQBアレックス・スミスの活躍により、最近では復調の兆しもみられ2013･2015･2016シーズンと立て続けにプレーオフに進出している。

チーフスを代表する選手

筆頭はなんといってもQB（クウォーターバック）のアレックス・スミスであろう。2005年のNFLドラフト全体1位で指名された有望株も今や32歳とベテランの域に差し掛かっているが、中隔としてチームを牽引し勝利を目指している。
元々はSFにドラフト指名され8シーズンを過ごし、その間にはスタメンの座を争って勝ち上がり優秀な成績を残している。2012年にチームはスーパーボールに出場したが彼はバックアップメンバーだったため出番は回ってこなかった。
2013年トレードでカンザスシティ・チーフスに移籍、このシーズンスミスは好調を維持し、15試合に出場、3,313ヤード、28TD、QBレイティング89.1（QBの能力を測る指標：90以上はそこそこで勝てるかは運しだい）でチームは開幕から9連勝を記録した。前年2勝しかできなかったチームは2013年シーズン11勝5敗の好成績をあげ、その中心となったスミスはプレイオフ進出に大きく貢献した。
193cm、93.2kgの恵まれた体格のわりに俊敏性も兼ね備えショートパスを主体とした緻密な戦略を操るリーダー的存在である。
2016シーズン、チームは12勝4敗で念願のAFC西地区を制した。スミスは今シーズン獅子奮迅の活躍で3,502ヤード、15TD、レイティング91.2と安定した成績を残している。
いよいよ始まるプレーオフに向けてチームの中核を成す頭脳的なパサーの戦略は如何に！久々のスーパーボール制覇という吉報を待ちたいものである。

チーフスについての想い

こういっては失礼だがカンザスシティをわざわざ訪れる日本人はいない。それだけこの片田舎の小さな街（といっても人口は46万人でミズーリ州最大の規模なのだが）は全米に知られることはないのである。
しかし今年、正確には2016シーズンのNFLでは特筆すべき出来事が起きており、それは日を追うごとに大きなうねりとなり全米中に徐々に伝わっている。
2013年にSFから獲得したQBアレックス・スミス「通称：アスミス」が元NFLドラフト全体1位に恥じない活躍を見せていたこの3年間、今シーズンはいよいよその集大成に近づいている。
AFC西地区を制し勢いずくチームはいよいよ現地時間1/15(日)にプレーオフ1回戦を勝ち上がってきたピッツバーグスティーラーズと激突する。
その会場はNFLで最もクラウドノイズ（対戦相手に野次をかまし味方を鼓舞する応援）が高いと言われるチーフスの本拠地「アローヘッドスタヂアム」なのである。
「観光資源は何もない、あるのはアローヘッド（チーフスの愛称）だけだ！」というほどの熱狂的な地元ファンの熱い声援を浴びて、必ずや念願だったスーパーボール制覇を成し遂げてほしい。今のチーフスにはその力は十分あるだろう。
ヘッドコーチ（HC）アンディ・リードの細やかな采配と大胆な戦略、それを確実に遂行するQB“アスミス”の堅実で緻密なパスプレイからひと時も目が離せないだろう。