Trangia(トランギア)

 2024-10-20 / 651 view

Trangia コンロ
クラフツマン・スピリットが気高く残るアウトドアブランド、Trangia

1925年にスウェーデンに誕生したトランギア社。創設者のJhon E.Jhonssonは農業を営んでいたが、卓越した技術とデザイン力で家庭用の調理用品を生産するトランギア(Trangia)社を立ち上げた。1930年代になると、労働者が余暇を楽しむ時間が増えるにつれ、キャンプ用品の需要が高まり、同社もキャンプ料理のための製品づくりへと移行していく。
1938年には息子2人が事業に加わり、1951年に同社を代表する製品となるストームクッカーを開発。燃料として最も効率的な液体燃料を使用するアルコールバーナーは半世紀以上のロングセラーとなり、後続の類似製品とは今も一線を画している。1970年代に入り、さらに創業者の孫が事業に参加。世代を超えてトランギア社を守り続けているのだ。
同社のアルミ製品は高品質のバージンアルミを使い、全て自社工場で製造している。その工場は90年以上前に創業された時と同じ村にある。自分のふるさとへのこだわり、それは、トランギアという社名からもうかがえる。この社名は、村の名前とアルミ製品であるという意味を追加して創業者が名づけたものだ。そしてまた、労働賃金の安い海外の工場へ安易に技術を売り渡さない、そんなクラフツマン・スピリットも垣間見える。まさにものづくりの原点をしっかりと守る職人気質のブランドである。
Trangia アルコールバーナー
製造当初からほとんど形を変えないアルコールバーナー

手のひらにすっぽり収まるコロンとした形。鈍く光るボディーから見える柔らかな光。何ともロマンを感じる逸品である。トランギアのアルコールバーナーは製造当初からほとんどその形を変えないロングセラーだ。昨今の主流はガスバーナーだが、このクラシックなバーナーには新しいものにはない良さが詰まっている。
まず、形状のシンプルさ。稼働するパーツは火力調節のふたぐらいなので、特に繊細に扱う必要はない。ハードな使用に耐えることができるのはアウトドアギアの最重要ポイント。重量はわずか110グラムだ。
そして使い方もいたってシンプル。ふたを開けて燃料用アルコールを注ぎ、火をつけるだけ。しばらくは何も見えないが、アルコールの気化が始まると上部のふちに並んで開けられた小さな穴から炎が静かにゆらゆら立ち上がってくる。ガスにはないこの静けさが気に入っているというユーザーは多い。とても小さいが意外に火力は強く、米も炊ける。ただし、使用する際には風防と五徳が必要。やはり風には弱い。消火はふたをかぶせるだけ。
また、燃料がアルコールなので世界中の薬局で購入できる。ガスのように燃料切れの心配が必要ないし、ごみも出ない。安全性を考えればあまりお勧めできないが、万一注いだアルコールが使い切れなくても、トランギアのバーナーは密封性が高くふたをしっかり閉めておけば漏れる心配もない。
Trangia ストームクッカー
軽量でトラブル知らずのストームクッカー

アルコールバーナーだけでも十分魅力的だが、このアルコールバーナーの火力を最大限引き出すように設計されたのが同社のストームクッカーだ。風防、ゴトク、バーナー、2つの小型鍋とふたにもなるフライパン、ハンドルが1セットで、全てをコンパクトにまとめて持ち運べるようになっている。アルコールバーナーの使い勝手が気に入ったらぜひこのシリーズで揃えることをお勧めする。
簡単に言えば、アルコールバーナーに穴の開いたボウルをかぶせたような五徳兼風防が、空気を効果的に吸い込んで大量の酸素を供給し、バーナーを高火力で安定させ、省エネモードにしてくれる。とてもシンプルだが考え抜かれた構造で、間違えようがないほど簡単な使用方法だ。
また、小型鍋一つぐらいの大きさの中にひとまとめにできるのに、ばらしてみたら鍋が2つにフライパンと、思いのほか本格的なキッチンツールになる。それぞれ食器にも兼用できる優れものだ。
アウトドアでは装具1つの入れ忘れがとんでもないトラブルにつながることがある。その点一まとめにしておけるこうしたセットは忘れ物防止という点から言っても有用だろう。製品の素材は厳選された高品質のアルミ。軽量で強靱でトラブルフリーな材質である。スウェーデンのクラフトマンが代々つくり続ける質実剛健なブランド、トランギア。タフなアウトドアライフにも十分応えてくれるアウトドアギアである。

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