Highlander(ハイランダー)
2024-12-05 / 2317 view
軍用にも耐えうるアウトドアブランド、Highlander
Highlander(ハイランダー)は1985年に現在のMDであるバーラム・ゴルザリがスコットランドに設立したアウトドアギアのメーカーである。エディンバラ大学の学生で、登山クラブのリーダーだったバーラムは、当時軍隊用の丈夫な道具を登山用品として使っていたが、残念なことに会社が清算されてしまった。そこでバーラムはその会社を買い取り、大学卒業の翌年にHighlanderを正式にスタートさせた。そのため同社では今も軍用のサバイバル製品を販売している。
事業を展開するにつれ、バーラムは軍用にあつらえられた耐久性の高い製品と、その他のアウトドア商品の品質の間に大きなギャップがあることに気づき、自身でアウトドアギアを製造販売することに。事業は成功し、イギリス各地でアウトドアと軍用品のショップを展開している。小売店舗のほか主にヨーロッパ各地へも商品を輸出。現在は2,000種類もの商品ラインアップがあり、2012年のロンドンオリンピックではオフィシャル商品に選定されている。
現在も同社は家族経営だ。バーラムの2人の息子が父の事業をさらに発展させるべくともに経営に参加している。2014年には家族経営の会社をたたえる賞「ヘラルド・ファミリー・ビジネス・アワード」でその年のベスト賞を受賞。
ちなみにHighlanderはスコットランドのハイランド地方の住民という意味だが、イギリスの軍隊では少数精鋭のハイランダーで組織された部隊を特別にハイランダーズと呼んでいる。
武骨さも無力、Highlanderのコンロ
Highlanderのポータブルコンロにはさまざまなタイプがあるが、ポータブルコンロとして持ち運びの利便性を重視するならHpx300 Compact Trekking Stoveがおすすめだ。いわゆる「五徳」(英語ではpan supports)、クッカーを支える部分がステンレスで、こんなに細いものは珍しい。ガスボンベの上に設置して使うタイプをよく見かけるが、これはボンベとは管でつなぎ、「五徳」が自立するタイプ。こちらのほうが安定性はいいだろう。重さわずか300グラム。デザインの完成度も高く美しい。
もう一つおもしろいデザインのものがある。ポットとコンロがしっかりつながるBLADE FASTBOIL MK 2 STOVE + POT 1.1L。最下段のガスボンベに3本の足をとりつけ、その上にコンロ、ポットとつなげていく。ポットはコンロにしっかり取りつけられるので、風が強い山や不安定な岩場などでもバランスを崩す心配が減少するのでは。またこのポット、なかなかの優れもので、保冷、保温がきき、ふたもぴったりしまる。ありそうでなかった便利ものだ。ポットにはミリタリー柄とブラックの2種類があり、見た目もクール。食事を楽しむより行動に重きを置く本格的な登山に似合うギアといえるだろう。
さらにもう一つスチール製のGel stoveを紹介したい。こちらはゲルの燃料があらかじめセットされており、燃料のふたをあけて点火するだけで使える。値段も驚くほど安価だ。とりあえず一度アウトドアでお湯を沸かしてコーヒーを飲んでみたい、という人にも使いやすいのではないだろうか。ガスを使うようなわずらわしさもないし、消火も燃料の上にふたをするだけだから、初心者でも簡単に使えるだろう。スチール製の無骨さも男臭くていい味を出している。
Highlanderは男のギア
何と言ってもイギリスはエドモンド・ヒラリーとシェルパのテンジン・ノルゲイによるエベレスト世界最高峰初登頂を果たした国である。登山の歴史は古く、アルプスの主峰39座のうち31座をイギリス人が初登頂しているのだ。近代登山の歴史をつくってきた国と言っても過言ではないだろう。
そのイギリスの中でも、山岳地で戦いに明け暮れなければならなかったスコットランド北部の勇猛なハイランダーをその名に関するHighlander。日本では余りなじみのないブランドだが、軍用品の製造技術を持ち、丈夫でどこか無骨な魅力のあるアウトドアギアを数多く生み出している。これは男のギアである。
例えばGel stoveを取り出してゆっくりお湯を沸かし、いつもより丁寧にコーヒーを淹れる動作は男にこそ似合う。火力はガスバーナーには及ばないだろうが、大自然の中であくせくする必要はない。設置と撤収は簡便に。ここでもたもたすると慣れていない感が出てしまう。しかし肝心のコーヒーを淹れる動作はゆったりと。もちろん時間はきちんと予測して、ゆったりとした中でも時間ぴったりにそのコーヒーができ上がってくれば、最高にかっこいい。アウトドアでの余裕は綿密な計画のもとでしか生まれない。最近はやりの山女に本当のアウトドアの過ごし方を見せてあげよう。