KONA(コナ)の自転車
2024-11-02 / 611 view
ノースショアライド発のサイクルブランド、KONA
KONA(コナ)は1988年にカナダで創業され、所有のマウンテンバイクチーム「KONAファクトリー」がレースで実績を挙げることで、その名を知らしめてきた、マウンテンバイクの世界最高峰ブランドのひとつである。
特にノースショアと呼ばれる、カナダ発祥のライディングスタイルに適したマシンの制作からスタートしたこともあり、とにかくタフなボディを持つことで有名だ。ノースショアスタイルは、崖のような急斜面をトップスピードで駆け下り、次の斜面をよじ登るように上がり、また下りることを繰り返すというものである。ハワイのオアフ島にあるノースショア地域を語源とし、KONAというブランド名からもハワイへの愛と憧れを感じさせる。
ノースショアライドに耐える自転車は、単に丈夫なだけではいけない。前輪を支えるフロントフォークやフレームにも工夫を凝らし、技術力を高めていったことにより、KONAはレースでの成績を伸ばし、ひいてはブランドとしても成長してきた。
一方、1990年代に入るとロードバイクも開発、総合的なスポーツサイクルメーカーとして幅を広げ、クロスバイクの分野でもレース実績を挙げることとなる。
90年代後半から2000年代に入ると、プロのレース仕様のマシン開発を継続しながら、一般のライダー向け量産モデルや、子ども向けのBMX開発なども進め、ファン層を拡大させている。
KONAのレース仕様スペックを街中でも乗りこなす
前述のように、KONAはノースショアライドというスタイルでの実績が豊富であり、そのレース仕様自転車は「グラビティ」系と呼ばれる斜面を駆け下りるためのものだ。しかし、もちろん一般のマウンテンバイク愛好者にも乗りやすいモデルも多数用意されている。
例えば「アドベンチャー」シリーズでは、太くがっしりとしたタイヤと、天候などに左右されにくいディスクブレーキを搭載、まさに日常を離れてどこまでも冒険の旅に行けそうな気にさせるスペックを揃えている。フレームも軽いアルミやチタンから、マニアックなファンの多いクロモリまで、様々な材質を選ぶことができる。
あるいは、シクロクロスのレースモデルでもある「ジェイク」シリーズでも、やはりディスクブレーキやフレーム、フォークなどがレース仕様と同レベルのスペックを維持しつつ、気軽に通勤や街乗り用としても扱いやすいように、キャリアラックの取り付けが容易であるなどの工夫が魅力的である。その個性的なフレームのカラーリングも、どこにいてもしっかりと自己主張してくれる。
「ジェイク」はKONAの創業者の一人であり、元々は第一線級のライダーの名でもある。用途を選ばずに使えて、しかしとにかく速いモデルを、というコンセプトで自らの名を冠したシリーズを開発したとのことだ。
KONAに乗って日常から非日常へ
ノースショアライドも、ダウンヒルやダートレースも、観るのはいいが自分ではさすがに無理、という自転車愛好者も多いことだろう。KONAの魅力は、レースで実績を挙げたいライダーに応えられるマウンテンバイクをしっかり揃えつつ、一般愛好者が憧れるレース仕様のスペックを、日常生活に持ち込める、手の届くところまで持ってきてくれるところだ。
一般的には、ガチガチのレース用自転車メーカーと思われがちなKONAだが、実際には通勤や、移動のために乗っているマウンテンバイクを、週末には山や河原などを走るのに使ってみることもできる。あるいは、ツーリングでも快適に遠乗りできるなど、幅広く楽しめるモデルが多いのだ。
KONAの創業者やスタッフたちが、寒いカナダから常夏のハワイに思いを馳せるように、普段は実用品として乗っている自転車で、時には〈ここではないどこか〉を目指して走るのも悪くない。KONAのマウンテンバイクは、そんな日常と非日常を行き来するための最適なパートナーとなるのである。