IRON883
2024-12-13 / 597 view
IRON883、普段着でも乗れる
あなたの周りにもいないだろうか。憧れのハーレーを購入したにも関わらず、結局ガレージで眠らせてしまっている人を。しかしIRON883(アイアン883)にその心配は不要である。883ccという大型の排気量でありながら、気を張らずに普段着で乗りたくなる一台だ。スポーツスターファミリーの中でもひときわ異彩を放ち、ダークでかつカジュアルなハーレー、それがIRON883である。
現在、街中で走るハーレーの中でも1番見かけるモデルかもしれない。近年のハーレーのラインナップの中でも人気が高いIRON883。その人気の理由は何なのか。
ハーレーが2008年から取り組んでいる「DARK CUSTOM」車両の1つでもあるIRON883に、ハーレー本来のデザインの特徴である「重厚感」やクロムパーツを多く使用した「輝き」は無い。
その代わり、クールな印象はひときわ強い。2009年の初登場からコンセプトカラーはダークであることを貫いている。マフラーやフォーク以外の金属パーツは塗装されており、ストリートに溶け込むスタイリッシュなイメージである。真っ黒いキャストホイールも人気が高い。近年はダークな雰囲気に合うタンクカラーもラインナップされている。
低速でも、高速でも
カラーだけではない。車両のシェイプを決める重要なパーツとなるリアフェンダー。このシルエットが他のスポーツスターファミリーとは一線を画しているのである。リアタイヤを覆うようなコンパクトなリアフェンダーのシェイプは、今までのスポーツスターにあったであろうか。IRON883のストリートでカジュアルな雰囲気を作っている要素の1つと言ってよいであろう。
リアフェンダーがコンパクトということは、そのまま足つきが良さにもつながる。最低地上高は99mm、加重時のシート高 641mmという重心の低さは、150cm後半の女性ライダーでも安心して乗れる数値である。
IRON883は、乗りやすいと言われているスポーツスターファミリーの中でも、取り回しがしやすく扱いやすいモデルのように思う。重心が低いため、高速道路ではバランス良く走る事ができ、渋滞などの低速運転では安定して乗ることが出来る。他のスポーツスターと比べてハンドルも短いため、操作もしやすい。
ただ楽しく乗れる一台
しかし、外観のデザインや乗りやすさだけならば、ここまでの人気モデルにはならなかったであろう。一度IRON883に乗ってみてほしい。ハーレー独特の排気音と振動をしっかり味わえることが分かるはずだ。それもそのはず、ハーレー社復活の原動力となった、耐久性とパワーを兼ね備えたエボリューションエンジンを引き継いでいるのである。
スポーツスターファミリーのフルモデルチェンジ後に発売されたため、乗りやすさという点では改良に改良が重ねられている。長距離の移動も快適だ。特に2015年以降のモデルは、5速から6速と変更になっているため、よりスムーズな乗り心地を味わえる。そして、加速と減速のレスポンスが早いため、あらゆる状況に対応しやすい。どこへでも気軽に出かけられるストリート感はそのままなのだ。
バイクに乗るのが楽しいのではなく「IRON883に乗るのが楽しい」と思えてくる不思議なモデルだ。他のスポーツスターとは一味違う外観を持つこのモデル。ハーレーなのにストリート系の洒落たバイクだなと思ったら、それはIRON883シリーズであろう。そして一度、その乗り心地を体感してみて欲しい。