Harley Davidson SPORTSTER XL883H(XLH883H)
2024-11-29 / 2590 view
ハガー、進化への序章
日本のバブル経済真っ只中、青函トンネルが完成した1988年に生まれたハーレー社から発売されたXL883H(XLH883H)。現在は絶版モデルとなっていながらも、スポーススターの中で今も根強い人気を誇っている。
1986年。スポーツスターは、今までの30年近く使われていたショベルエンジンからエボリューションエンジンへと進化。発売当初の883ccモデルが復活したのもこの年だ。そのわずか2年後。1988年から、スポーツスターフルモデルチェンジ前の2003年まで発売されていたのがXL883H(XLH883H)。Hは「HUGGER(ハガー)」の頭文字を取って付けられた。
実はこのハガー、年式によって乗り心地が大きく変わる。ここからは、スポーツスターの性能向上の歴史から、ハガーの変化に迫りたい。
加速する進化
1988年。ハガー発売当初はショベルエンジンの時と同様、トランスミッションが4速だった。通称「4速エボ」と呼ばれ、頻繁にギアチェンジをしなくて良いお手軽さを求めて4速を好む人も少なくない。
1989年。CVキャブレターに加速ポンプが搭載された年だ。低速域からスピードを上げる際に、よりスムーズな加速が出来るようになった。
1991年。トランスミッションが現在の5速になった事でトルク感が増し、加速がよりなめらかに。
1993年。ガソリンタンクがラバーマウントされた事で、ガソリン漏れが改善。また、ハガーがチェーンドライブからベルトドライブとなったのもこの年である。シフトチェンジの際の衝撃が少なった事で乗り心地も改善された。
1994年。フレームの形が変化。フェンダーレールの裏の方までフレームがある。
1997年。ガソリンタンクが、8.5リットル(2.25ガロン)から12.5リトル(3.3ガロン)と大きくなり、ガス欠の心配が改善された。しかし、昔ながらの外観を好んで、あえて小さいタンクを選ぶ方もいるようだ。
2000年。ブレーキのキャリパーが4ポッドとなり、制動力が増す。
2003年。ハーレー100周年記念モデルのハガーが登場した。
ハガーは歴史で駆動する
いかがだっただろうか?ハガーの歴史は、エボリューションエンジン以降からフルモデルチェンジ前までのスポーツスターの歴史でもあるのだ。16年の歴史を持つハガーは、往年のスポーツスターファンの中でも一目置かれている存在のように思う。ひと昔前のバイクでありながらも人気の理由は、初代エボリューションエンジンのハーレーらしい振動ある乗り心地と、一度聞いたら耳から離れない3拍子の排気音が楽しめる事ではないか。また、883ccと大型バイクに分類されながらも、スマートなデザインも魅力のひとつである。
このように、ハガーのラインナップがあった1988年から2003年までの16年間で、スポーツスターは大きく変化を遂げた。そのため、型番だけではXL883Hがどのようなバイクであるのかを語るのはとても難しい問題である。その年代ごとに違った味わいがあるハガー。単純に性能が良し悪しで判断するのではなく、歴史を感じる乗り心地の違いを楽しむのが粋なハーレー乗りだと思う。自分のライフスタイルに合ったハガーの楽しみ方を見つけてほしい。