FLH
2024-11-21 / 2195 view
FLという意味は1200ccのハーレーという意味がある。そしてHはハイコンプレッションを指している。エンジンは1936年に登場したナックルヘッドからOHV(オーバーヘッドバルブ)になり、近代化された。しかし、ナックルヘッドはシリンダーヘッド、シリンダーが鋳鉄で出来ているため、放熱効率が悪くオイル漏れ等の故障が絶えなかった。
そして技術が進歩し、1948年にパンヘッドが登場した。シリンダーヘッドが鋳鉄からアルミダイキャストに変わり放熱効率が各段に向上した。これにより、オイル漏れ等のトラブルは減ったようだ。1965年にパンヘッドエンジンを搭載したエレクトラグライドが登場した。パンヘッドエンジンが搭載されたのがこの1年限りで1966年からショベルヘッドの前期型、通称アーリーショベルと言われるエンジンである。アーリーショベルはシリンダーから下がパンヘッドと同じクランクケースが使用されている。そして1970年にエンジンがマイナーチェンジされ、クランクケースが変更となった。クランクケースが変わったことでポイント部分の点火タイミングの機器はケース内に収まり、発電機もジェネレータ(直流発電機)からオルタネータ(交流発電機)に変わった。
そして1978年に1340ccに排気量アップしたエンジンが登場することになる。このように様々な改良を重ねていったFLHだが1200ccのショベルヘッドエンジンは1980年を持って生産終了となった。1340ccのエンジンも1981年後期から、圧縮比が8.0から7.4に下がり特にエキゾーストバルブの保護とエンジンオイル消費を避けるためにバルブシールが装着されるようになる。1985年を最後にショベルヘッドは生産中止になり、それに伴ってFLHも生産終了することになった。現行モデルのハーレーの土台となったモデルであることは言うまでもない。
ハーレーという会社がいかに歴史と伝統を重視しているかがわかる歴史的な背景である。FLの販売が順調に続いたことにより、ハーレーダビッドソンは1961年の間は、大部分のモデルをそのままラインナップに載せ続けることができていた。しかし、彼らはさらに高い目標を達成するために、若干の変更を加えていったのである。時々不規則な動きになったり、燃料を無駄に消費してしまうイグニッションは、より強くて信頼性の高いデュアルポイント点火システムに変更された。
カラー変更とオイルタンクのFLHバッジの変更と共に、1961年のFLHには他のバージョンのキャストタンクバッジが取り付けられた。そのためコストパフォーマンスに影響が出て、1961年のFLHの価格は前年よりも25ドル高く設定されてしまった。そしてこの頃ハーレーは、アメリカの海岸に輸入されるアジア製バイクに驚異を感じ始めるようになっていた。この年、ウイリアム・H・ダビッドソンがイタリアのアエルマッキ社の会長に就任し、事実上買い取りという形になり、企業としても大きな変革の時期を迎えた。
FLHが生まれる以前はパワ-より耐久性と始動性が優先の時代なので、重い荷物を手軽に運ぶ道具としての歴史が有る。ピストン・コンプレッション、カムの違いだけで無くバルブスプリング、ポ-ト形状も低中速重視でスト-ルする事なく粘る回転バランスが特徴だった。昔はFLHをチュ-ンして かつ乗り易くする為にストロ-クの長いインナ-バルブスプリングをFLアウタ-に組み合わせ粘りを増大させていたユーザーもいたよう。ロ-カルでのんびり走らせるには楽しいが、都市部・高速で使うには追い越し加速がストレスになる。古き良き時代のバイクという認識のもと、このモデルを楽しんでほしい。