XLH900 [アイアンスポーツ]

 2024-12-06 / 1635 view

XLH900の車体

XLH900、ショベルヘッド900

通称XLHと呼ばれるハーレーダビッドソンのバイクは、ショベルヘッドスポーツスターというモデル。ショベルヘッドスポーツスターは1958年~85年に生産されていたモデルで、エンジン部分が「鉄」でできていることから、通称「アイアンスポーツ」とも呼ばれるようになった。

エンジンヘッドのカバー形状はショベルカーの形に似ていることから「ショベルヘッド」という名がつけられたと言われている。ハーレーのヘッドカバーの名称は年式毎に異なるその形状からネーミングがつけられているのが特徴的だ。

旧車に少し詳しい方ならエンジンのヘッド部分を見るだけで型式が見分けられるほど形状の違いがあり、XLHの主な仕様としては4速ミッション、前後18インチのスポークホイール、パネルタイプのアーリーフォークカバーを装備、現在のスポーツスターとは違ったスタイルとなる。

圧縮比は7.5と現在のモデルと比べると低い設定になっており、ローコンプレッションなモデル。1958年から圧縮比が9.0とハイコンプレッションに変更され、エンジン始動時のキックペダルもそのせいか他モデルに比べると少し重く感じるだろう。

 XLH900のカタログ

担うのは、スポーツスターの礎

細かく分類するとXLH(1958年~85年に生産)とXLCH(1958年~79年に生産)の2種のモデルへと更に枝分かれする。

XLHのHはハイコンプレッションの「H」の略で、XLCHの「CH」は「コンペティション・ホット」の略を意味している。XLCHは主にレースでの使用を想定され造られたモデルのため、当初から余分な重量をなくすために、スモールタンクを標準装備。

逆にXLHはロードツアラーモデルとして販売されたため、反対にロングツーリングにも対応できるように大容量のタンクとなるKモデルタンク、亀の子タンクなどが1970年まで採用された。

これらのXLH、XLCHが代表的なアイアンスポーツのモデルとなり現在のスポーツスターの礎を築いたモデルと言えるだろう。他にもKフレームという細長くスリムな形状をしたフレーム仕様が特徴的で、ハーレーのエンジンを載せるフレームにしては、華奢な造りにも見えるが、当時使われていたフレームは鉄の材質でもいいものだったため、細くても非常に丈夫で頑丈であり、十分な耐久性を備えている。
 XLH900のシート
スピードを味方に

もちろん、このスリムな構造を活かしたチョッパーカスタムを好んで施すオーナーも多い。エンジンのヘッドやフィンの形、コンパクトに収まったプライマリーカバーやカムカバーの形状など、全体的にそのシャープでスタイリッシュな造形美の虜になり購入される方が多いようだ。

おそらく「世界で一番コンパクトな900ccエンジン」なのではないだろうか。足元の操作性も独特で、一般的なバイクだと左足でギアチェンジシフト、右足でリアブレーキの構造だが、XLHやXLCHはその逆で左足でリアブレーキを、右足でギアチェンジシフトの操作となるため、旧車のトライアンフなどど同じような変わった構造になった。

一般的なバイクとは一線をおきたい!個性を活かしたバイクに乗りたい!というこだわりの強いオーナーさんにはぴったりのバイクだ。

足回りには前後にドラムブレーキが採用されており、より旧車らしいデザインを感じさせるが、やはりドラムディスクに比べブレーキの効きはあまりよくないため、ディスクに交換してカスタムされるライダーもいる。乗り味としては900CCと小ぶりのエンジンながら、トルクは非常に強くスロットルを回すとしっかりとした加速感とパワーがついてくる印象だ。

Vツインのショベルヘッドにひけを取らないほどの激しい振動を感じることもでき、キャブレターの種類やセッティングにもよるが、渋滞時など低速での走行にはあまり向いていない。高速道路や信号の少ない直線道路などの条件により、回転数が安定しスピードも伸びやかに加速していくイメージだろう。

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