スポーツスター XLH883
2024-11-20 / 1781 view
XLH883、歴史の重み
ハーレーのスポーツスターシリーズの883ccを語る上で、最も重要な位置付けであろう。エボリューションスポーツスターの基礎となっているモデル、それがXLH883である。
2004年にスポーツスターファミリーのモデル表記がXLで統一されるまで存在したXLH883。もちろんその後継モデルはXL883であるが、この歴史あるXLH883はXL883よりも特別感があるように感じる。それは、近年の883ccクラスの中でも、多くの歴史を背負っているモデルだからだ。このモデルが無ければ、現在主流になっているアイアンや、スーパーローは生まれていないだろう。
1986年、4速のエボリューションスポーツスターの登場とともに、883ccが復活する。それがXLH883である。883ccというコンパクトな車体は、日本人のハーレーへの憧れを身近なものにした。さらに、壊れやすいというハーレーのイメージを一新した耐久性に優れたエボリューションエンジンは、人気を一層加速させることとなった。現在では、日本での人気を不動のものとしたスポーツスターファミリー。その原点とも言えるモデルがXLH883なのだ。
XLH883は883ccスポーススターファミリーのベース車両としての役割もずっと担ってきたモデルでもある。キャブレター車を求めるハーレーファンの心を未だに離さないハガーもこのXLH883の車両がベースとなっている。その後登場するカスタムモデルもこの車両がベースだ。モデル名にアルファベットが何も付いていないXLH883は、様々なモデルシリーズの原点でもあるのだ。
シンプルかつヴィンテージ
シンプルながらもどことなくヴィンテージ感漂うデザインは、昔ながらのハーレーの意思を受け継いでいこうという心が感じられる。そこがまたコンパクトな車体が大きく見えてしまうような存在感をかもちだしているのかもしれない。また、シンプルなためカスタムしやすいモデルであると言えるだろう。
年代によって乗り味は大きく変わるため、XLH883を一言で表すことは不可能である。シフトチェンジも4速の時代と5速の時代がある。チェーンドライブが良いのか、ベルトドライブが良いのか。フレームの形も年代によって変わってくる。キャブレターも加速ポンプ付きか否かで乗り心地は大きく変わる。
発売当初はまだショベルスポーツスターの名残が残っていようだ。そのためこの時代のXLH883は、後期XLH883と比べたら全く違う乗り物であろう。マイナーチェンジを繰り返しているので購入する際は、スポーツスターの歴史を考えて年代で選ぶことは基本となってくる。
スポーツスターの原点
90年代後半にデビューしたモデルで2000年以降も発売されているモデルでは、XLとXLHが混在しているのを良く見かけるが、元々XLとXLHは全く違うモデルとされていた。
XLHのHとはハイコンプレッション(高圧縮)モデルという意味が含まれていた。ショベルスポーツスター時代、標準装備がXL、ハイコンプレッションモデルとしてXLHと区別されていたようだ。しかし、エボリューションスポーツスターの時代に突入すると、技術の進歩と共に双方の違いがあまり無くなってきた。そのため、名残的な意味合いでXLH883というモデル名にしたようにも思える。
また、XLHはロードツアラータイプとしての区別もされていた。そのせいだろうか、どことなくXLHモデルは長距離移動に向いているイメージがある。シンプルなスポーツスターらしい外観であるため、ハーレーであるにも関わらずカーブを楽しむこともできる。
スポーツスターの原点を楽しむならXLH883以外選択は無いように思う。色々試乗して乗り心地の違いを体感して欲しい。