スポーツスター XL1200R
2024-12-02 / 816 view
XL1200R、人気者には理由がある
XL1200Rは、30ものラインナップがあるハーレーの中では常に人気の上位にあるモデルだ。初代のスポーツスターは1957年、51年も前に誕生している。アメリカに進出して若者に人気を博していたトライアンフなどの英国車に対抗し、スポーツ性能を高めたハーレーとして開発されたのがスポーツスターのルーツだ。
「スポーツ」という名を冠してはいるものの、現在の水冷4気筒スーパースポーツなどとは性能的には比べものにならない。しかし、100馬力を優に超えるバイクにはない何か、をスポーツスターは確かに持っており、ハイスペックなマシンがいくらでもある中でスポーツスターを選ぶユーザーが後を絶たない。また、スポーツスターを「ビックツインモデルの廉価版」と捉えて選ぶ人も多いのは確かだが、スポーツスターの魅力はビックツインとは別のところにある。ハーレーの中でも異質の魅力を持つのがスポーツスターなのだ。
伝統の4カムを背負って
このモデルで注目すべきなのは足回りとブレーキの充実。2008年モデルのXL1200Rはエンジンなどの機能面に大きな変更はないが、スタイル面では従来の12.5Lタンクから17Lへと大柄なタンクが採用され、見た目の印象は大きく変わった。
1,200ccのスポーツスターモデルは4種類あるが、XL1200N以外の1200シリーズはすべて17Lタンクを装備している。一方883ccのシリーズは12.5Lタンクを装備するのが中心。トルクフルでロングツーリングを楽々とこなしてくれる1200シリーズの場合は、伝統的なスタイルを守り続けるよりも航続距離が重視されたのであろう。ブラックアウトされたOHV1,200ccエンジンは、ビックツインのツインカムエンジンがその名の通り2つのカムで制御されるのに対し、バルブの開閉を4つのカムで制御する。これによりさらにスポーツ向きのエンジンとなっているのだ。
この4カムがスポーツスターのエンジンの特徴。現在ではもはや高性能とは言えないが、1957年の初代スポーツスターの登場以来守り抜かれている伝統的な機構なのだ。スポーツスター独自のエンジンフィーリングはOHVエンジンとこの4カムによるところが大きい。走りはじめると、エンジンはスムーズに回りはじめる。旧車のスポーツスターに初めて乗ったときは「このエンジン、壊れているのか?」と感じる方も多いものだが、そのような不快な振動も一切なく、トルクフルに回るエンジンへと進化している。
理想のラインさばきを味わえ
以前のモデルに比べるとエンジン回転がスムーズになっているが、ノーマルのインジェクションデータが何度か変わっており、より熟成が進んだ結果であるといえる。わざとアクセルを全閉、全開にしてみると、タイミングが少し遅れてエンジンはスロットル操作に反応を示す。インジェクションでスムーズな反応ができないはずはないので、わざと以前のキャブレターモデルのような味付けにしてあるようだ。
こういった細かなテイストにもこだわっているのだとしたら「さすがはハーレー」と言ったところだ。スムーズ過ぎないこの設定はバイカーを気持ちよく感じさせられるひとつのエッセンスとなっているのは確かである。
例えばワインディングを走ったとき、綺麗にスムーズに曲がれたこと。スポーツスターはコーナリングに癖があるため、このような感覚とは相違なのだが。2004年以降のモデルではフレームが大型化され、各部の剛性は確実に向上している。
足回りは決して高級なパーツではないが前後のバランスがしっかり取れているのだろう。XL1200Rは思った通りのラインで曲がることができ乗り手が正確に操作してやればきちんと応えてくれる優秀なバイクだ。