VRSCDX [ナイトロッドスペシャル]
2024-12-14 / 2425 view
VRSCDX、カタログ落ち無しの実力
ハーレーダビットソンナイトロッドスペシャルについてここでご紹介したいと思う。
新型水冷エンジンを搭載した新しいモデル、ストリート750は大変話題となったが、やはりVロッドを語らずして水冷ハーレーは語れないと言えるだろう。
初代Vロッドが誕生したのは2003年で、ちょうど創業100周年を迎えたハーレーダビッドソンが新しい時代に向けて開発を続けてきたこのモデルは世界的にも大きな衝撃だっただろう。
ここでご紹介するナイトロッドスペシャルは、2007年に誕生して以来、一度もカタログ落ちしたことのない人気モデルの一つだ。
このナイトロッドのスペシャルインプレッションを機会に、改めてVロッドの成り立ちについて書いてみたい。Vロッドの誕生は2003年で、水冷60度のVツインDOHC4 バルブのレボリューションエンジンといった新しいエンジンを搭載したモデルであるVRSCA V-RODからである。
1994年にデイトナ200マイルレースにレーサーとして加わったハーレー初の水冷エンジンを搭載したVR1000 のエンジンをベースとし、ドイツのポルシェ社の協力によって市販用モデルとして開発されたものだ。なお、Vロッド の全モデルの名称についているVRSC は、Vツイン・レーシング・ストリート・カスタムの略である。
速さにしがみつけ
2007年にリバイバルしてから一度もカタログ落ちしたことのないモデルであるこのVロッドファミリーの人気モデルのナイトロッドスペシャルは2002年にVRSCDX 10th ANV とともに再度仕様が変更された。
デザインだけでなく、サイズ感もそれ以前より少しコンパクトになっている。その特徴は、アメリカで人気の高いモータースポーツであるドラッグレースに登場するレーサーとしてのスタイル。
直線コースでの速さを競い合うこのレースでは、バイクが曲がることがないので、直進安定性だけが追い求められるスタイルだ。これは、Vロッドファミリーのすべてのモデルに共通するものであり、ナイトロッドスペシャルもまたバイクにしがみつくライディングポジションが印象的。
さらに、ステップの位置もフォワードコントロールされており、コントロールしやすいとは言えないが、これこそまさにハーレーの遺伝子を受け継いでいると言える点だ。
2012年に仕様が変更された際に、それまでのナイトロッドスペシャルの代名詞とも言われていたビキニカウルはバイザーへと変更されてしまったようだ。ダークにまとまったマシンの基本的な部分と攻撃的なスタイルはそのままで、エポックメイキングな存在として今も君臨している。
理想は魅力買い
Vロッドのアイデンティティはパワフルな走行性とドラッグレーサーとしてのスタイルと言えるが、そのいっぽうでストップ&ゴーの多い日本の道路や、小柄な日本人の体格という点を考えると、扱いやすいバイクとは言いにくい仕様となっている。
日本ではまだなじみの浅いドラッグレースというスポーツの象徴的なモデルであるということも、このモデルの扱いにくさを印象付けていると言えよう。このモデルと似たモデルとしては、FXSB ブレイクアウトとFXDWG ワイドグライドがある。両方ともナイトロッドスペシャルと同じようにホイールベースが長くなっており、ステップ位置もフォワードコントロールだ。
アメリカ人のような大柄な体格なら別であろうが、この設計はジャパニーズスタンダードからは程遠いと言える。もちろん、それぞれのモデルにはハーレーとしての文化が備わっており、モデルの魅力を邪魔するものではないが、乗りやすいかという点で言うならば乗りにくいと言わざるを得ない。
その中でも印象がダークなイメージが強いナイトロッドスペシャルは、非常に魅力を感じるに違いない。もし、このナイトロッドスペシャルに釘付けになったら、その第一印象に従い、ぜひ試乗してみていただきたいものだ。