TOURING FLH1200
2024-11-26 / 454 view
FLH1200、バランス型のデキル相棒
見た目からしていかついこのモデルの最大の特徴は見た目の大きさやインパクトのほか、ウエイトバランスなどがしっかりとれているおかげで走行の安定性を実現できたロングツーリングにもっとも適したバイクといえよう。
走りの印象としては見た目のやぼったさとは反比例し、意外とバランスの取れたバイクであるとの評価が高いことでも実証されている。重量もあるので路面が悪かったり、ラフなハンドルさばきなどの扱い方であっても、ハイサイドが起きにくい構造にある。しかしながら、足回りにはいささか不安な点もあげられているようだ。
純正でのセッティングで峠を振り回すのには、慣れたバイカーレベルの走行力であっても、やはり独特なライディング感を養うためちょっとしたコツを要するようだ。近年では旧車好きなバイカーたちがこぞってカスタムにはげむ傾向が強い昨今だが、とくにこのFLH1200モデルをセレクトする方の中では主に2手に分かれる。ひとつはカスタムのベース車両としてセレクト。クラシカルな風貌からオールドスクールテイストなチョッパーへのカスタム車両が人気となった。
フルオリジナルのレストアも検討を
もう一方の考えとしてはフルオリジナルのレストアで所有すること。デッドストックなため、なかなかこの状態で販売されている玉を見かけることはさすがに少なくなってきたが、何かの事情などで全く乗っておらず、ついには手放して売りに出していた、なんてケースがごくまれにあり近隣のショップなどでも数回見かけたことがある。
日本のハーレー市場において、カスタム車両よりフルレストアのほうがより価値が高くなることからも所有できるオーナーにとっては有益なことなのかもしれない。こちらのモデルは発売当初、1200ccだったFLHショベルが、1340ccに排気量を大きくしたのは1978年のこと。今から40年近く前のことだが、排気量が大きくなったのを喜ぶバイカーは当時でも多かったそうだが、なぜ排気量が上がったのか?ということ。
時代の背景とともに当時からいろんな噂話がとびかっていたようだ。ショベルの排気量が大きくなった翌年、Kasawakiから「KZ1300」という当時は珍しいインジェクションを採用した水冷6気筒モデルが発売された。
謎多き出自、バイクはホンモノ
ハーレーはこのモデルの発売情報を聞きつけ、世界最大排気量の座を守るためにショベルの排気量を1340ccにアップした、そんな話があったのである。この話、実際には諸説あるため、確証とまではいかないものであはるのだが・・・というのも、ただのボアアップなら開発にもそこまで手が掛からないはずなのだけれど、1200ccから1340ccへの排気量アップはボアもストロークも変更する手のかかる仕様変更となる。
シリンダーもクランクも、このタイミングから新設計のモノを採用しているため、おそらくそれなりの開発期間と莫大な経費をかけたはずである。KZ1300の発売時期に近かったのはおそらく偶然ではないかと、現在では推測されているが真実は闇の中である。1340ccのエンジンになる前、日本では「もっと排気量を上げてほしい」という声はあまり聞かれなかったようだ。
しかしアメリカでは1200ccモデルをボアアップするユーザーは多かったよう。ただ、1200ccモデルをボアを広げるだけで1340ccにすると、シリンダーの壁が薄く、耐久性が弱くなりトラブルの原因になっていた。それでも排気量アップを求めるユーザーは多いとのこと。そんな声が、ディーラーからメーカーに届けられるようになったというわけだ。同じFLHなのに1200ccと1340ccが併売されていたこともあったようだし、アメリカから日本にも両方の排気量のFLHが入ってきていたそうだ。